じねん堂ではパーソナルトレーニングのインターバル中に怪異談を語ることが多い。したがって、1~数分で終わる話が重宝する。最近は、それらをさらにコンパクトにする試みを行っている。いわゆるtwitter投稿用である。
記憶しているなかでは最初の不思議な体験
測量のバイトで鳥羽方面に行ったときのこと。川原で休憩中に赤いアーチ橋を見上げていたら、骨組みの間に茶色いものが見えた。
「鳩かな?」
目を凝らしたら、中年男性の顔だった。じーっとこっちを見る頭だけの男性。
いわゆる怪異に出くわしたのはこれが最初だった。
黒いモヤ
あるランナーが菰野のきらら湖周囲をランニングしていたとき、急にもよおしてきて管理棟のトイレを使った。
用を足し、手を洗って顔を上げると、黒いモヤのようなものが腰くらいの高さをス~っと横切ってトイレから出ていくところが鏡に映っていた。
ぎょっとして外に出たけど、モヤは見つけられなかった。
なぜかこんな時に限って……
Tさんは実家に寄った後、父親が入院している病院には寄らずに帰路に就いた。大抵顔を出しているのに、なぜかはその日は病院を通り過ぎてしまったのだ。
その夜、2歳前の娘が寝ながら「あかん。あかん!」と叫びだし、どうにも手が付けられない状態になった。しばらく経ってやっと落ち着いたと思ったら、今度は電話が鳴った。
父親の危篤の知らせだった。
パチンコ店には多いらしい
見える質(たち)のAさんがパチンコに行ったら、二つ隣の椅子に下半身だけの透けた人が座っているのが見えた。
そこに若い男性が座った。
こういう時は必ずかかる(玉が良く出る)そうで、案の定、若い男性は大儲けだったようだ。
しかし、Aさんは透けた人が見えてもそこには座らない。家まで憑いてきたら堪らないからだ。
地元の者をして何なのか分からない集団
山の上にある全寮制の高校には、正門のほかに、山の裏手から別荘地を抜けて登っていくことができる。
ある日の午後、地元の若夫婦が家を建てる土地を探そうと別荘地を見に行った。車で山道を登っていくと、ぽっと開けた場所に出た。するとそこに、白装束を着た人々が何やら儀式めいたことをしているのが見えた。生きた人間だとは思ったが、怖くなって引き返した。