今回はノルディックポールの長さ設定にまつわるお話。
さて、ノルディックポールの基本的な長さは、身長×0.68とされています(JNFA)。初心者はそれよりも若干短くするのが適当とされています。
イベントなどでは参加者の身長を聴取し、計算したり図表を参考にしたりして長さを合わせることとなります。
しかしある時期から私は、その計算式をあまり使わなくなってしまいました。
「トンとついて、肘が90度かそれよりちょっと伸びるくらい1でよろしいですに。」と、言うことが多くなったのです。
それは、ポールに刻んである長さが結構デタラメだと知ったから。
アイキャッチにもしている下の画像をご覧ください。
種類の違うポールを、それぞれのポールに刻まれている数字のとおり、125センチに設定したものです。
長い方はパッドを装着した状態で、短い方はパッドを外してチップだけの状態にしています。そして、ストラップが接続される高さに線を引いてみました。
いかがですか?
パッドを装着した状態でも125センチには届かず、2~3センチは短いのです。ポールそのものの長さも(それに意味はないですが)、ピッタリ125センチにはなっていません。しかもこの2つのポールは同じメーカーの製品です。
こんなものを頼りにポールの長さを合わせる価値が、あるのでしょうか?
私は無いと思います。
厳密に行うなら、ポールに刻まれた数字は無視して、ポールの先端とストラップ接続位置との距離をメジャーで測るのが最も確実でしょう。
とはいえ、それは面倒くさい。
ですから前述のように、“トンとついて”とご案内することが多くなったのです。
もちろん、「身長×0.68」は有効ですし、ノルディックウォーキングを初めて体験される方には知識として知っておいていただきたいので、時間に余裕のある時は「身長は何センチですか?」と、お聞きしてからポールに記された数字を頼りに長さを調節はしますが、最終的にはトンとついた長さを見て調節するようにしています。
そうした方が、より参加者に適した質の高い指導ができると信じているからです。
余り数字にこだわりすぎない方が良いという事例です。
※2017年5月15日公開の記事を加筆修正
- 臍の高さを目安にポールの長さを決めることがあります。杖を突くように歩行するか、上肢のスウィングによる推進力をそれほど得たいと思わない場合(多くの場合、高齢者の初心者)です。体格にもよりますが、臍の高さで合わせたポールの長さでは、ノルディックウォーキングならではの運動効果を得るには短いことが多い印象です。 ↩︎