警備員

Aさんが警備会社でアルバイトをしていたころ、同僚に40~50代くらいの女性(Bさん)がいた。

特に癖が強いというわけでもない、普通のおばちゃんである。普通に出勤をしてきて、普通に仕事をして、普通に雑談もする。

そんなBさんが急に退職した。

アルバイトが辞めることは特段珍しくなかったので、これも “普通に” となろうか。

しかし、困ったことが起こった。Bさんが制服を返しに来ないのだ。アルバイトの制服は貸与制だ。退職をしたなら返却せねばならない。

催促しようにも、電話までつながらない。

幸い履歴書から住所は分かるので、Aさんは先輩と現場に向かいがてらBさんの家を訪ねた。

履歴書にある住所へ向かうと、着いた先はゴミ屋敷だった。小さな一戸建ての敷地から粗大ごみやゴミ袋がはみ出している。生垣も庭の草も伸び放題だ。中も相当な状態だと想像された。

まさかあのBさんがゴミ屋敷の住人とは…。間違いではないかと思いつつインターホンを押すが、当然鳴らない。ドアをたたき、名前を呼んだ。

「はーい」

返事がした。聞き覚えのある声だ。

どすどす階段を降りるような音と、ゴソゴソと何かをかき分けるような音のあと、ガラリ。少しだけ引き戸が開いた。

2・30センチほど空いた隙間から鼻をつく臭いと共に顔を出したのは、 “普通のおばちゃん” とは似ても似つかない女だった。髪はぼさぼさで、服もボロボロ。Aさんたちは絶句した。

「なに?」

「あ、ああ。○○警備ですけれど、Bさ…」

「だからなに」

「あの、制服を返却してもらえないですか?」

「あー」

ゴミをかき分けて部屋の奥に消えた女は、数分後に制服を持って戻ってきた。詫びの言葉は無いし、制服はクリーニングどころかきちんと畳まれてすらいなかったが、2人は文句を言う気にもなれずそそくさと立ち去った。

 

しばらくたったある日、Aさんは事務所で先輩に呼び止められた。

「おい、テレビを観てみろよ」

テレビの前にはほかの職員も集まっていた。皆の視線の先には少し前に見たゴミ屋敷が映し出されている。Bさんの家だ。

どうやらBさんは母親が死亡したこと届け出ずに年金を不正受給していたらしい。その事を報じるニュース番組だった。

死体は家の中に放置されていたそうだ。

 

Bさんが突然退職した時期と母親が死亡した時期とが重なるかどうかは分からない。ただあの日、Bさん宅で感じた異臭はゴミからの物だけだったのだろうか。

「思わず想像して気分が悪くなったよ」

Aさんはおっしゃっていた。  

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