お爺さんが横切るから…

ある夏の日のこと。

いわゆる“見える”JCであるAちゃんとこんな話をした。

勉強って、どこでしとるん?

えー。ごはん食べるとこ。

あー、そうなんや。リビングちゃうんやな。
やっぱり、テーブルの高さが丁度エエとか、テレビが気になるとかで?

んー。リビングは入らへん。
テレビもごはん食べるとこから観る。

え、なんで?

リビングでテレビ見とると死んだお爺さんが通るんやもん。
邪魔やし恐いし。

お~、そうなん。ちょっと怖いやん。
でもあれか。孫が気になってウロウロすんのかな?

さあ……。

まあ、お盆も近いしなあ。

怖いなかにも何となくほほえましい印象を受け、この日の話題はここで終わった。

そして後日、Aちゃんのお母様(Aちゃんが“見える”ことはご存知)とお話ししたときのこと。

そういえばAちゃん。
亡くなったおじいさんがテレビの前を横切るって話は、その後進展、ありましたん?

え?
うち、おじいさん生きとるけど?

え、うそ……
めっちゃコワなってきた。

私の勝手な勘違い。実際は孫もへったくれも無かったわけである。見知らぬ老人が家の中をウロウロしていたら、それは怖いはずだ。

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