痣(あざ)

妻が妊娠中の2006年5月。

妻の祖父が他界したため、その葬儀に参列した。

祖父の居所である三重県南部の漁師町には、妊婦が葬儀に参列すると何らかの “障り” があるという言い伝えがあり、それを防ぐために腹帯へ鏡を入れるのが風習とのことだった。

したがって妊娠中の妻は腹帯の中に鏡を入れて参列したのだが、いわゆる天然なところのある妻は、鏡の反射する面を本来の風習にある外側向きではなく、内側(自分側)に向けて入れてしまったのだ。

迷信深い人間ならば一大事と騒ぐところなのだろう。

しかし、言い伝えの類に無頓着な私は、

「おいおい。逆にしたら効果ないんちゃうの? でもまあ、ええか。」

と、笑って済ませたのである。

 

それから1年半ほど経った冬のこと。

知人の祖父に当たる方が逝去された。

妊婦であるその知人は岡山まで葬儀に参列するつもりでいたのだが、彼の地では妊婦が葬儀に参列すると赤子にアザが出来るという言い伝えがあるのだそうで、

「だから行かずに家で留守番してたの。」

と、教えてくれた。

 

その話を聞いて、私は背筋の凍る思いがした。

目立たないところだが、確かにあるのだ。

妻の祖父の葬儀から4ヵ月後に生まれた長女の身体に、直径3センチほどの赤い痣(あざ)が。

 

気にもしていなかった赤い痣。

鏡の向きを間違えたせいで起こった “障り” だったのだろうか。

 

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